音楽特番を見ていて思ったこと
コロナの影響でいま、ライブおよびフェスが軒並み延期または中止になっている
再開してもいいよとなったけどそのかわりに
ステージ上には透明のカーテンを付けるだとか、客と客の間は1m確保するだとか、誰も大声を出してはいけないだとか
いろいろと細かな項目が定められた
バンドメンバーが客席にダイブしたりだとか、お客が満員電車よりもギュウギュウになったりだとか、お客も叫んで歌うのが当たり前
パンクバンドのライブは、新生活様式というやつにまさにいま殺されようとしている
話は音楽特番に戻るけれど、歌を歌う後ろにファンが写る映像をたくさん流すということをしたアーティストが言った
「私のライブでこれをやるのもいいなと思いました」と
そうだろうか?
本当にそれでいいのだろうか?
それならライブDVDを見ればいいじゃないかと思ってしまった
ライブハウスにはライブハウスでしか味わえないことがたくさんあるのに
例えば、始まる前の高揚感
ライブが始まる前、ステージをじっと見つめるのが私は好きだ
サポートスタッフが機材を設置してコードをつないだり、立ち位置の調整をしたり、楽器の音出しをしたり、マイクテストをするのをしげしげと見つめるのが好き
ちなみに、The Offspringというバンドは、立派な絨毯を床に敷いたり、ボーカル専用の扇風機を設置する
そうやって自分たちの仕事を終えたサポートスタッフがいなくなりしばらくするとバンドのタペストリーが上がる
これから俺達がかますぜ!というような気迫を感じるとともに、もうすぐライブが始まることに期待がふくらみ胸が高鳴り出すのだ
それから、生の音の迫力
スピーカーの側に陣取っている時は、ライブが始まるとその大音量に最初は驚くものの、あっという間に夢中になってそんなことはまったく気にならなくなる
そして、ライブ後や翌日からしばらくの間は耳の奥でキーンと鳴っている
それは、ライブを自分自身で体感したことが体に刻まれた証なのだ
そして、体を動かす爽快感
ライブ中はまさしくすし詰め状態でギュウギュウだから息苦しくてしんどい
それなのに、ある瞬間突然、とんでもない快感に包まれるのだ
ランナーズハイってこんな感じなのだろうか
そうやって夢中になりすぎて油断すると、ダイバーの履いたゴツい革靴が頭や顔を直撃することもある
もちろんとんでもなく痛いのだけど、それさえも楽しいと、不思議と思えてしまうあの感じはたまらない
それと、ライブ後の爽快感
ライブが終わると全身汗だくで、メイクは全部落ちていて、肩にかけていたバンドタオルも、着ているバンドTシャツも、ジーパンでさえも全部がビショビショ
だから会場内は多くの人達が吐き出した二酸化炭素で充満しているはずなのに、吸い込む空気はとんでもなく清々しい
やり遂げた感がすごいあまり、夫と肩を組んで帰ることもある
こうやって一つ一つを振り返ると、ライブは楽しいもの以外なにものでもない、という事が改めてよくわかる
それなのに、そういう全てが奪われる日が来るなんて夢にも思わなかった
コロナのせい(あえて「せい」と書く)で中止になった最初のライブは「ダウンロードジャパン」というフェスだった
大好きなパンクバンド
The Offspring(オフスプリング)が来日するはずだったフェス
あの日が来るのを何ヶ月も前からとんでもなく楽しみにしていたのに
もしこの先、ダウンロードジャパンほどの大規模イベントが再開されたとして果たして現地で見ることは出来るのだろうか?
それとも、オンライン中継が当たり前になってしまうのだろうか?
そしてもしそうなったとして、私はそれでもライブを見たいと思うのだろうか?
それならばらチケット代が高くなってもいいから人数減らしてでもライブハウスでやってほしい
その考えは、おかしいのか?
まぁでも、人数減らしたって見ているお客たちは動いたらいけないんだな
パンクライブを見に行って、暴れられないだなんて無意味そのものじゃないか
とりあえず、デクスターとnoodlesのアコギライブはどうだろう?
それならば、10万円出してでも生で見たいなぁ
きっとこうやって、私みたいにあれやこれや考えている人がたくさんいるのだろう
だとするならば、新生活様式とやらの世界では「何に価値を求めるか」が
全ての人に問われているのかもしれない
音楽の力は私にとって計り知れないもの
たくさん助けられたし
たくさん励まされたし
たくさん癒されたし
たくさん勇気をもらった
とてつもなく幸せに満たされた時も
とてつもない孤独に襲われた時も
大げさなんかじゃなくて
目の前の現実かあまりにも辛すぎて
死にたくなったこともあった
だけど上がっても下がってもそこにいつも
音楽があったから生きてこられたんだよ
その音楽の力が最大限に発揮されるのがライブだと思っている
歌い手の想いと聞き手の想いがぶつかって強力なパワーが生まれるあたたかな空間
だからライブというものが大好きで大好きで何度言っても足りないほど大好きだから、それを諦めるなんてできないよ